2014年12月13日

緩和病棟

緩和病棟の申し込みは、それぞれの病院によって異なるのでよく調べてから行った方が良い。場合によっては自宅近くの病院が必ずしも自分の症状や状態に最適ではないかもしれないし、地域的な制限もあるかもしれないけど、一般的に、今後色々ある事も考慮すると自宅から余り遠距離ではない方がいいかと。(元気になって「一時退院」や「一時帰宅」もあるかもしれない。自分ですべての手続きをするとなると、入院時には持ってこなかった予備のキャッシュカードやら判子やら、細々した物を取りに帰る必要が、結構出てくる)

申込みしてから緩和面接があり、緩和に受け入れられてもらえるかどうかの審査がある。それにパスしてから入院待ちの列に入れる。申込みはとにかく早目に。お試しや見学なんて悠長にやっている暇はない。この緩和も50人程度待ちのタイミングもあるそうなのだが、早く入れたのは、偶然急にバタバタと部屋が空いたタイミングでの即入院ができたからだと思う。「もう少し自宅で過ごしたい」等のお返事をすると、どうも入院の順番が飛ばされる様子なので、緩和審査にパスしたと連絡受けたら、いつでも入院できるように準備しておくのが良いかも。入りたいと決めたらアクションは早く。大切なのはスピードとタイミング。

緩和はオール個室。トイレ、洗面台、テレビ、DVD、CDプレーヤーも完備。寝たきり患者さんもいるので、看護師さんも多く、日常生活のケアも至れりつくせり。午前中はタオルでの体拭き、朝ご飯、一日のスケジュールの確認、回診、売店からの訪問販売もある。お部屋の掃除やシーツの交換などもあって、お昼。ボランティアさんによるお茶やマッサージサービス。終わったらシャワー、夕方の問診。そして晩御飯。採血や検査、薬の確認や交換も入るので、結構出たり入ったりするためバタバタしてしまう。

入院直後は疲れ果ててボーっとしているので、さらにそれどころじゃない状態。これからどうなるのか?少しは楽になれるのか?今後の治療方針も決まっていなくて、何をどう目安にこれから色々組み立てて行ったら良いのか?とにかく疲れた、まずは何も考えずに休みたい状態なのに、「元気かなぁ。会いたいよぉ~。XXちゃん達とお見舞い行きたいんだけど、いいよねぇ」なんて脳天気メールが朝昼晩ひっきりなしに送られて来ると、「元気じゃないから入院したのです。もう二度と会いたくないです」的なすさんだ気分になるのも理解していただけるかと思う。しつこいようですが、もし身近に末期患者がいたら、本人からの連絡があるまで、どうか完璧放置プレイでお願いします。

前回の記事をアップしたところ、「やっぱりオタクは社交性ないよね。どうして人の善意を素直に受け取れないのか?」との叱責を多数いただくかと思ったが、逆に「フェイク善意」に振り回されて傷ついた経験のある方々からたくさんのコメントをいただいた。「会いたい」「顔見たい」「知りたい」→それって、「主語」は誰?…主語は全部「病人本人」ではないのだ。そんなフェイク善意やフェイク心配から出たアクションが、心身ともに弱者である患者にとってはストレスフルでハラスメントにしかならない場合もある。一番不安で苦しいのは病人本人なのに、回りのフェイク善意者にストーカーめいた行為までされたという書き込みもあった。ご本人自身が辛かったケース、そして残されたご家族が守ってあげられなかったと後悔されているケースもあった。自分がその立場になってみないと実際には判らなかったが、このフェイク善意ハラスメントは決して珍しい話ではないようだ。まあ、でも毎日誰かにお見舞いに来て欲しいという社交家タイプで、そうブログ等で発信している人もいるので、一概にはどうこう言えないのだけど、いずれの場合も最低限の本人の意思は尊重されるべきだろう。


さて、入院当日に、お部屋にポータブルのレントゲンが入って撮影と採血し、現状把握。勿論ポータブルなので画像はさほど鮮明ではなかったが、両肺に水が溜まって、鋭角なはずの下部がはっきりしていない。

入院時点での問題は、

・胸水による呼吸苦、酸欠
・肝臓の腫れによる膨満感に伴う食欲皆無、倦怠感
・血小板低下による鼻血や皮下出血

主治医の先生曰く、注射で胸水を一回抜いてみることも考えたが、血小板が低いので余り刺したくない。まだ腎臓は丈夫なので、できれば胸水に利尿剤が効くか試してみたい。さらに血小板が皮下注射したら危ないというほどでもないし、下げ止まる場合もあるので、様子を注意深く観察しながら呼吸苦と膨満感緩和のためにモルヒネ皮下注射で対応したい。一日の食事がリンゴ半分、水も飲みたくない、酸素あるのに息切れしまくり状態では本人のやりたい事が何もできないので、どうしても脱却させたい。モルヒネの困った副作用は、吐き気、便秘、眠気などだが、入院中は細かい対応が可能。最低限の血中濃度から始めて上手くコントロールし、バランスを取っていきたい。とのこと。

皮下注射でモルヒネ。
乳がん手術をした人なら経験があると思うが、術後にぶら下げていたドレーン袋みたいなのに、今度はモルヒネの注射箱が入って上腕へ定期的に薬剤がリリースされる。また「ポチ」を連れて生活する懐かしい感じ。

モルヒネは、もうこの世の終わりのように受け止められている最終兵器なのかと思ったが、そうでもなかった。しかも「痛み」だけが対象なのではなく、全体的な不快感や苦痛に対応できるという。通院なら血中濃度を自分でコントロールしなければならないので、オキシコンチンやパッチを勧めるとのこと。そのため、一部の患者さんの間では、オキシコンチン(服用)→パッチ→モルヒネ皮下注、という段階で末期ステージがアップし、この世の終わりだと理解しているためにモルヒネに非常に抵抗がある場合があるという。自分もモルヒネ皮下注をぶら下げている人は、末期キングなのかと思っていた。

良く考えたら、血中濃度を安定してコントロールするのは服用よりパッチより、直に皮下注するのが一番ダイレクトでシャープ、かつ簡単なはず。しかも入院していて誰かに管理されるのだったら、おそらく一番楽(飲む薬だけで満腹になっちゃうので、服用も面倒くさい)。結局どれも麻薬だし、別に大差ない。

「終末医療」と「緩和医療」とは違う事。
モルヒネが終わりの始まりでもないという事。
またモルヒネにも効きやすい痛みと、そうでない痛みがあり、決して万能という訳ではなく、効かない痛みに患者に合わない量で使うと副作用の悪い面しか出ないリスクがある。…等、知らなかった事がたくさんあった。

ここの「緩和」では、抗がん剤などの積極的な「ガン治療」はしないが、今できる範囲で苦痛やトラブルを解決して「これからどう生きていきたいか?」その個人のライフスタイル、希望や価値観、場合によっては家族の要望などに合わせてゴールを決める方針。例えば、「また抗がん剤治療がやれる状態になれば退院したい」ならできる事は限られているけれどそれを目指すし、「とにかくもう検査も何もしたくない。痛くなく死にたい」の人はそうできるようにサポートするし、「最期は家で家族と過ごしたい」の人はそこまでの状態に体調を整えて退院してもらうケースもあるとのこと。

自分のゴールはとりあえず水浸しの肺を何とかしたいのと、膨張し続ける肝臓の不快感のコントロール。これは、肋骨に当たっているので、いずれは痛みになるリスクがある。また、ガンで大きくなった肝臓が胃の方までせり出して圧迫しているので食欲がないのだろうとのこと。上を向いても下を向いても重くて眠れないって、本当に肝臓って大きい臓器だったのねと感心はしてみるけどウザい。このままじゃエイリアンが生まれ出てきそうな勢い。できる限りこのウザさを取り除き、呼吸もそれなりになって、食べたり飲んだりでき、一日に1,2時間でもPCに向かって仕事できたらいいな。結果的に体力が回復してまた普通の治療に戻れたら、それはまた別のラッキーってことで。

主治医の先生とじっくりお話ができ、先生の考え方と私の考え方と摺合せができたのも良かった。忙しくてストレスでハチャメチャだったので、とりあえず一か月、ゆっくり休めてケアしてもらえる環境で過ごし、細かく計画したとしても人の体は必ずしも予想通りの反応はしないから、その後はその時の状況に応じて考えていきましょうとのことに。


そうこうしながら約三週間。
モルヒネ副作用は、最初の眠けくらいで殆ど出なかったので(眠さもそのうち慣れてなくなる。個人差はあるかもだけど)、コンスタントに量を上げている。不快な症状が出る前に先手を打って増量し、抑え込むのがコツだとのこと。利尿剤が効いて肺水がやや減ってきたこともあり、モルヒネパワーのおかげで時々酸素なしてお部屋を歩き回っていたりする(当然、血中酸素濃度は下がるけど)。血小板は先生の予想通り下げ止まった。食事はおかゆと軟食、ほんの少量にしてもらっているが、おかずだけは残さず食べられるようになってきた。水やお茶も少しづつ飲めるようになり、腹部膨張はあるが、ポテチ(?)やフルーツが無性に食べたいというような衝動も出るようになった。

モルヒネの「予防フラッシュ」という使い方もマスターした。シャワーの前や食事の前、あらかじめ大変さが予想される前に血中濃度を少し上げておく事で、違和感なく対応できるというものだ。シャワーも自分一人で浴びられるし、息切れもしない。咳なんて嘘のように消えてしまった。ただし、不快な症状の緩和はできてはいるが、ガン自体の治療はしていないので、様々な数値も徐々に悪くなってきているし、足も浮腫んできた。入院してからすでにCT1回、レントゲン2回、採血3回。自分が希望したので検査も必要なタイミングで適宜入れてもらえて、それに合わせて対応してもらってはいるが、残念だけど肝臓の進行も早い。

でも、ヨレヨレで水も飲めなかった一か月間は何だったのだろう?あー、もうこんなんじゃ、もっと早く緩和に入って、モルヒネでも何でも使っとけば良かったよなあと思わされた。偏見は良くない。


その他の身辺整理:
相続関連の書類や手続きはたとえ少額でもとにかく面倒なので、「受け取る人が単に受け取るだけ」の形にしておきたい。弁護士の先生に病室に来てもらって、さらなる打ち合わせをしておいた。自分が友人達に感謝を示すには、何かを遺す程度しかできないが、余りに重い物を遺すと逆に負担だったりするかもと話し合い、最低限にした。そして、目録には載らないその他の物品の形見分けの順番なども決めておいた。大した物はないが、欲しい物をもらってもらう程度なら負担ないかな。食器集めていたし、ちょっとしたバッグや貴金属なんかもあるから、気に入った物を持って帰って使ってもらえたらいい。

カードのマイル、ポイント:
自分には財産関係ないわと思う人でも、注意すべきはクレジットカードのポイントなどが案外貯まっている事。あとは、ショッピングカード、サイト、携帯などのポイントも無駄にしてはいけない。自分が貯めた物だ。交換できる物はすべて交換しておこう。誰かにあげられるような物。自分ではあえて買わないけど、もらったら興味あるよねみたいな物が良いかも。

病院や携帯支払に使っているようなメインカード以外のクレカはおそらくもう使わないだろうから、この時点でキャンセル。解約よりポイント交換を先に完了させないと無効になってしまって勿体ないのでくれぐれも注意。

→もし経済的にゆとりが余りない場合、カードは切っては逆にいけない。例えば病気で退職してしまった場合など、再勤務先が決まり、一定期間勤務実績ができるまで、一般的なカードは作るのが難しい。でも、今持っているカードさえ手元にあればキャッシングやローンなど、当然、返済はあるが本当に困ったときの当座の助けにはなってくれる(病気で無職だと申告する必要はない)。仕事が思うようにできなかったり、今までの治療費もかさんで、経済的にゆとりがない場合も当然あるだろう。カードやローンに頼らないで生きてきたかもしれない。でも、病気が辛くて一人ぼっちでさらにお金がないのはハイパーストレスなので、年会費が負担とならない物は保険としてキープしておこう。

勿論、すでに活用されている場合もあるだろうから、そんな事、今更という感じもあるかもしれないが、年会費に負担にならないカードは、作れるようになったら集めておくと良い。特にキャッシングではなくローンが付けられるなら最低額でも良いから必ずつけておく。キャッシングは例えば10万借りると次の〆で10万の支払いが発生してしまうが、ローンはリボで払って行くので、次の〆が来ても一括返済の必要がない。自転車操業的に安易に使ってしまうのは生活が破たんして良くないが、もしもの時用に、キャッシングの10万とローンの10万では安心感が全く違う。基本的に、融資実行しなければお金を取られる事はないので、本当の「お守り」の意味で。例えばカード5枚。それぞれにローン10万で合計50万。必要になって困り果てた時点で金策を始めるよりも、まとまった金額が簡単にすぐ作れる状態にしておけば、絶対に心強い。落ち着いて色々考えられるようになったら、ゆっくり返していけば良い。人生色々ある。経済的に恵まれている時も、残念ながらそうではない時もある。嘆いても仕方ないので、ピンチの時に自分を少しでも楽にできるような準備をしておいてあげよう。

保険:
自分の入院&死亡保険を使うのはこれからだからキープ。もし、ラッキーにもリビングニーズ付きのに入れていたら手続きは早く。

確定申告:
入院が長ければ医療費分は、たぶん戻ってくる。その分は遺族が相続する。少額であっても放棄してはもったいないので、必ず手続きされるよう手配しておく。

年金
扶養に入れている人があれば、遺族年金が支払われる。この辺りも手続きの指示を忘れずに。貰えるべき人がもらえるべき物をタイムリーに貰えるように。

家族関係:
在宅看護、医療、緩和の業界では家族の意思やケアも大切にして、とにかく「家族関係を修復」させようとする傾向があるように感じる。きちんと全員でコミュニケーションをして「大団円」みたいな。本人が意思決定できなくなった時に、または急激に症状が悪化した時に、次のステップをどうするか誰かの判断が必要となるからだろう。でも、オタクが急に社交的にはならないように、機能不全家庭が急に普通の家庭になったりしない。人生の最後のステップで特定の家族の関与がストレスになる場合、意識レベルのコントロールは、もう主治医の先生にお任せすると決めて早目に話しておくと良い。


DSC00493介護認定が送られて来ていた。
自治体にもよるかもしれないが、本人宛の書留で転送されない場合、独居入院中では一生受け取れないかもなので注意。

最初の審査の時には、たぶん「要介護1」しか出ないのではとケアマネさんが心配していたが、その後酸素暮らしになったし、結局、身の回りの事がろくにできなくなってしまったので、「再審査やってもらったらどうかしら?」と在宅看護のチームとも相談してくれていたみたいだった。意見書(?)みたいなのを出したり、お役所の担当者と話したり、できる限りの事をしてくれた様子。そして、「要介護2」をもらえたようだ。(ちなみに「要介護1」だと介護用ベッドが介護保険適応ではなくなるらしいが、「要介護2」からはベッドOKとのこと。→要介護1の場合でも、在宅医療の先生が病状に必要との意見書を用意してくれればOKらしい。)

ケアマネさんに認定書をFAXして手続き進めてもらう。
本当に福祉関連の方々の熱意はすごく、とても助けられた。現状何がベストか、どうしたらもっと快適に過ごせるようになるのか、親身になってサポートしてくれた。こんな事なら、もっと早く介護申請もして利用させてもらっておくのだった。介護保険はお年寄りとかすごく大変な人たちの物で、自分は働けていたから、それで税金や保険料を払っていくべき側で、「助けてもらえる側」なのだという感覚がなかった。

アドバイスとしては、介護も緩和も、お手続きはお早目に。
特に独りの場合、ヨレヨレになってそれどころじゃなくなっちゃうリスクがあるから、自分で考えて行動できるうちに、二歩先手くらいで丁度いい。抗がん剤治療をしていても、介護保険は使える。要介護までいかない要支援でも使えるサービスはある。治療の合間のヨレヨレで辛い日々を、自分一人の力で降り越えようとして、結局、次の通院日にも体調がアップしていなくて治療できませんでした。またゼーゼー&ヨレヨレの日々で次の通院日を待つ。だったら、せめてその間はプロに少しでも楽に過ごせるように工夫してもらった方が、結果的に治療効率も良くなると思う。

また、夜中に本当に具合が悪くなった時、かかりつけの病院へは救急車で運んでもらえる距離なのか?救急車では無理な距離の場合、では、タクシーなら良いのか?本当に具合が悪い時、痛かったり吐き気があったり、そんな時に、1時間タクシーって、体力的に大丈夫?もし、近所の病院に運ばれたとしても、普段縁もないがん患者がそんな時、迅速&適切に診てもらえる物かしら?そもそも息も絶え絶えかもしれないのに、詳しい事情を説明できるのか?

家にすぐ駆けつけてくれる近所の先生が状況を把握してくれているのは本当に安心できる。近隣医療機関との連携も取ってくれるので、早めに備えておこう。

呼吸苦だけではない。例えば皮膚転移してしまって毎日の手当に苦労している場合、痛み、咳、食欲不振、脱水、その他色々な不都合。素人判断で工夫して頑張り続けるのもありだが、彼等はプロの知恵を授けてくれる。より元気な状態になって、次の治療日を迎えられるかもしれない。

「末期なんだ」と認めたくなくて、心情的についグズグズしてしまう事もあるだろう。乳がんと診断された時も、「早く検査してはっきりさせなきゃなあ」という気持ちと「できれば認めたくないなあ、先送りにしたいなあ」という複雑な感情があったのを思い出す。だけど、一日でも早く、適切なサービスを自分の生活や状況に合わせて部分的にでも活用できれば、それだけで間違いなく患者としてのQOLは向上する。


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nekome1999 at 15:08コメント(0)トラックバック(0)緩和医療  

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